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山月記

偶々ネットをぶらぶらしていたら中島敦の山月記を見つけて読み返してみた。
高校の教科書に大昔から載っている話で、何度も読んだ話ではあるが、
今読むと沁みる。心に沁みる。
著作権も切れているので、大胆に参照する。
己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。虎と成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
今の年になってみると、コノ李徴の独白は重たい。
私は心の中の猛獣を御せているのだろうかと考え込んでしまう。
私の心の中の猛獣は虎というほどかっこいいものではないかもしれないけれど。

山月記 中島敦  青空文庫
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by tomo1y | 2006-05-16 21:18 | 書誌
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