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好きな子とか語り合ったりしてたわけですよ。

中学生男子はわりと恋の話が好きである。女の子はまたもうすこし違うんだろうけど、
そういうことをお互いに話せるようになったのは大体そのくらいの時期である。
部活の連中とはよくそういう話をしていた。僕らが柔道部だったからって言うのもあったんだろうと思う。
一応柔道部ってのは男女一緒の部活……ということになってたのだけれど、
部活の女子に恋心を抱くかって言われると、ちょっとねぇ。

その点を言えば、吹奏楽部とか陸上部ってのには軽くあこがれたもんである。
男女一緒の部活で、それらの部活の女子にはかわいい女の子がいるように見えたのだ。
女子バレー部とか新体操部とかのがかわいい子がいた気もするけど、
残念ながら俺の体にはリビドー君がついていたわけで、それらの部活には入れないしね。
そもそも、ついてなかったら女の子に恋をしたのだろうかという疑問は置いといて。
まぁ、もちろんかわいい子だらけの部活なんて夢のような部活はないわけだど、
大体かわいい子でも、仲良くできなかったらキツイわけだけど、それは無視してたし。
中学生なんてのはそういう都合のいいことを夢見がちだしさ。

話を元に戻そう。僕らは大体、当時町中に1軒しかなかったコンビニか駄菓子屋で買い物をして
大体決まった公園――醤油家のタンクの見える公園でだべっていた。
学校を出る時間が一緒な連中っていうのは部活の連中なわけで、たいていそうだった。
世界情勢について語り合うわけでもなければ、学校の勉強について語り合うわけでもない。
誰が誰を好きだとか、誰が誰と付き合ってるとか、まぁ要するにそういうこと。
柔道部員が15人くらいで、そういうところに集まるのが10人くらいだったと思う。

学年全体で200人を少し出るくらいの生徒数の学校だったので、
さすがに10人寄れば超文殊の知恵。妙にそういう話に詳しい集団だったろうと思う。男臭いのにね。
最初はまぁ、そういう情報交換の場であったのだ。誰が誰に振られた……とかね。
けれどそれが自分たちの内側に向いていくってのは、話としては当然の話。
結局全員お互いに言うという紳士協定が締結されるに至って、お互いにお互いの好きな子を教えあった。
今思うとすごい甘酸っぺー話なのだけれど、当時は真剣だった。真剣だったからこそ甘酸っぱいのかな。

結局それぞれが吐いた女の子の名前はかぶらなかった。
幸運な偶然なのかというとそうでもないと思う。
紳士協定は紳士協定でしかなかったのだろう。
あの子も好きだけど、あの子も好きだった……みたいな話もあったわけだしね。
大体かぶったらどうするのって話もあったわけで。底は見せていなかったかもしれないな。
僕にしたところで、なんか好きかもって感じの子の名前を挙げたしね。
当時は「好き」って感情が良くわかってなかった。これはまぁ、今でもか。
けど、口に出して認めてみると何かだんだん好きになってくるもんだよね。
みんなそんなもんじゃなかったのかなぁと想像してたし、今は確信してる。

結局その想像は間違いないということを明らかにする出来事があったのだ。

出来事のあらましはこうだ。
ある、かわいらしい女の子が勇気を振り絞って、ある柔道部員に告白して、そいつがオッケーした。
これだけ書けば、いい思い出ってことになるんだろうけど、
僕らはお互いに誰が好きなのか……知っていたのだ。
あとはご想像のとおり。そのかわいらしい女の子を好きな別の柔道部員がいたって言うありふれた話。

緊急ミーティング。
「言った方がいい?」
「いやー」
「それはなぁ」
「だよなぁ」
……


結局その話は女の子に恋してたそいつには伝えらんなかった。
まぁ、人のうわさは止められるもんじゃないからね。結局は耳に入ったわけだけど。
結局告白されたやつも、その子のこと割と好きだったのだよね。

女のこのことが知りたくて仕方のない中学生男子が、好きかもって思う女の子から告白されたら
最終的にどうなるかはわかった話であったのだ。紳士協定なんて、結局ないも同然
それを責められるやつは、一人とていなかったわけだしね。

その後、なんか「俺が告白するから、お前らも告白しろ」みたいなわけのわからん話になっていった。
友情が深まったのか壊れたのか、今でもよくわからん。

結果?僕は泣いた。
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by tomo1y | 2006-09-08 18:52
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